『旅行者の朝食(米原万里)』を読みました。

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以前から気になっていた米原万里さんの『旅行者の朝食』を読みました。気になっていたなど言いつつ、てっきり世界各地の旅行者の朝食が取り上げられているエッセイのようなものだと思っていました。

その名を聞いただけでロシア人なら皆いっせいに笑い出す「旅行者の朝食」というヘンテコな缶詰や、数十年前たった一口食べただけなのに今も忘れられない魅惑のトルコ蜜飴の話、はたまたロシアの高級輸出品キャビアはなぜ缶詰でなく瓶詰なのかについての考察や、わが家を建てる参考にとはるばる神戸の異人館を見に行くも、いつのまにか食べ歩きツアーになっていたエピソードなど、ロシア語通訳として有名な著者が身をもって体験した、誰かに話したくなる食べ物話が満載です!

米原万里さんのこの本が気になるきっかけになったのは、とある日のミスドでの事。隣の席に座っている人が浦一也さんの「旅はゲストルーム」という本を読んでおり、なんとなく気になってAmazonで調べてみた時に「この商品を買った人はこんな商品も買っています」に出て来てなんとなく気になったのが最初でした。

それから図書館で偶然米原万里さんのコーナーを見つけるもこの本だけ貸し出し中になっていたので余計に気になり、先日再度図書館に行ったところ返却されていたのでさっそく借りて来ました。

主にロシア圏の食に関するエピソードが取り上げられており、普段あまり聞かないような食に関するエピソードがとても興味深く、また、ロシア文学に精通されている方だけあって、ところどころに散りばめられている文学的要素はもちろん、歴史的背景の雑学が心象風景をぐっと広げさせてくれる一冊でした。
「トルコ蜜飴の版図」のハルヴァは探して食べてみたい!と思ってしまう程。

そして、この本の読了感が何かに似てると思って、すぐに気づいた事。
高校生か大学生の頃、千葉敦子さんにハマって彼女の著作をおそらく全部読んだ事がありました。あの千葉敦子さんに触れた時に似た感覚。と思ったら、米原万里さんも癌で亡くなっているんですね。

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